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言の葉と文字列のあいだ

少しの間、あなたの時間をください。

遅ればせながら「語彙力」に関する考察

 8月18日に突如流行した、「日本語ボキャブラリーテスト」というサイトと「#私の語彙力」というハッシュタグについて、僕がテストの結果を公開した上で続けて私見をツイートしたところ、そちらに予想外にざわざわと反響があったので、ツイートでは言葉足らずで説明ができなかったことを、記事に残しておきたいと思います。

 この「日本語ボキャブラリーテスト」に関しては、正答率や評価規準が明示されませんので、どこまで適正なものなのかも検証のしようもありません。僕は夏目漱石レベルだそうですが、どういうエビデンスがあるのかも分からないし、どうやって夏目漱石ボキャブラリーを評価したのかも分かりません。まあ、このあたりはお遊びなのでだいぶサービスしてくれているんだな、という感じでよろしいかと思います。

 さて、こういうツイートに反響があるということは、フォロワーさんに読書クラスタの方が多いというのもあると思いますが、「語彙力」というものに対する関心が高いのだと思います。「語彙力に自信がない」とか「どうやったら語彙力が高まるのか」という思いをもっている方もいらっしゃるのかもしれません。僕自身も、正直に言うと語彙力がすごく高い方だとは自分では思っていません。社会人として、必要十分な程度を何とかキープし続けている、ぐらいの感覚です。

 そういうわけなので、僕から「こうやったら語彙力が高まります」みたいなアドバイスをしても説得力がありませんが、一応ツイートの意図を補足しておきます。

 まず、「語彙力」というのは一般的に「どれだけ多くの単語の知識を獲得しているか」というような定義ができると思います。僕の言葉で言い換えると、言葉の意味と使い方をどれだけ自分のものにしているか、というような感じだと思います。

 例えて言うと、生活の中での語彙というのは、「靴」のようなものだと思うのです。靴は、白くて清潔なデッキシューズが一つあれば、日常生活には困らない程度にはどこにでも行けますよね。ただ、ビジネススーツに白のデッキシューズを履いて仕事に行けばそれは白い目で見られることでしょう。あと、冠婚葬祭もありますしパーティーもあるかもしれませんが、白のデッキシューズで行くと恥ずかしかったり場違いだったりしますよね。山や海に遊びに行くときも不便ですし場合によっては危険ですね。一足の靴があれば、生活する上でだいたいの場面はしのげるのですが、時々恥ずかしい思いをしたり不便な思いをしたりするんです。だから僕は、ビジネスシューズやランニングシューズ、ドレスシューズ、ビーチサンダルと言った、場面場面に合うように靴を買い揃えていくわけです。語彙というのも、そういうものだと思うのです。

 一つの言葉を知っていれば、その意図は相手に伝達することはできるかもしれません。伝達できればそれでいい、と考えるなら、滅多に履かない靴はいらないと考えるのも無理はないでしょう。でも、できれば場面場面に合った「身だしなみ」を調えたいものですよね。僕は、語彙力はその「身だしなみ」のようなものだと思うのです。

 幸い、語彙力は靴と違って基本的に「タダ」で得られるものです。本でも雑誌でもネットでもかまわないので、誰かの素晴らしい「言葉」に触れ、「自分もこんな風に言葉を使ってみたい!」と興味を持つことがまず良いのではないかと思います。知らない言葉が出てくれば「知りたい!調べよう!」と興味を持ちましょう。そして、まずその言葉の正しい意味と使い方を覚え、その人の「影響を受ける」といいと思います。日常会話でもブログでもTwitterでもいいので、それをどんどん使って自分のものにしていく、言葉のバリエーションを獲得していく、それを繰り返していけば、語彙力というのは加速度的に高まっていくものではないかと思います。

 一昨日のツイートの真意はこんな感じでした。僕のTLには、毎日本当にきれいな言葉、おしゃれな言葉、豊かな言葉を使ったツイートが流れてきます。僕もたくさん影響を受けさせていただいており、感謝してるし楽しみにしています。

 「言葉」って興味深いですよね。

 では。